地域の集い場「ヒュジラ」(Hujra)の復興プロジェクト!

ユース・ピースアクションの10回目は「ヒュジラ」(Hujra)の復興プロジェクトです!

「ヒュジラ」“Hujra”とは、パキスタン-アフガニスタンに暮らすパシュトゥンの人々の社会の、伝統的な集いの場を指す言葉です。重要な文化であり、集団的な意思決定や、争いごとの解決、情報共有が行われるなど、重要な伝統的社会制度として機能しています。

いわばソーシャルクラブとして、対話の場となり、社会の安定や平和を守ってきたものの、紛争や過激化、西欧化、近代化など近年の様々な情勢の中で、次第に衰退しつつある現状があります。

今回のユースグループは、こうした状況からのヒュジラ復興プロジェクトを行いました!年長者の方々の多数の参加もあり、意見が共有されました。

話し合いの論点となった一つ目は、ヒュジラの果たすポジティブな役割についてです。

ヒュジラの役割として、ゲストハウス、客人のもてなしの場、若者たちが学ぶ場、社会の問題を解決するための集いの場であることが確認されました。

ヒュジラは誰でもいつでも訪れることができ、安全、食べ物、シェルターとしての機能が保証されており、望むだけいてよいとされていました。もてなしの精神はパシュトゥンの人々にとって誇りであり、客人をヒュジラでもてなそうとします。そのことは、この地域に、ホテルやモーテル、旅館がないことからも明らかです。客人が最高の敬意と最高の食事なしにヒュジラを去るようなことになれば、恥であると考えられています。

加えてヒュジラは、若者が年長者とともに座り、様々なことを学ぶ学習の場でもありました。

話し合いの論点となった2つ目として、時代の変化により、ヒュジラが深刻な影響を受けていることが話し合われました。

西欧民主主義や司法制度の実施により、議会や裁判所としてのヒュジラの役割はなくなりました。また、ホテルや飲食店がこの地域にも現れ、増えてきていることで、客人をもてなすという要素もヒュジラから失われていきました。またテレビの出現により、人びとは通常、家にいるようになり、ヒュジラを訪れた場合でも結局テレビを見ているなど、知識の伝達がなくなりました。若者たちはよりよい教育を求め、都会に出るようになり、ヒュジラに行って人と交わる、社会化することもなくなっています。このようにして、次第にコミュニティによるヒュジラが非常に少なくなっているというのです。

こうした意見交換を経て、かつては結束のシンボルであり、意見の食い違うもの同士でも話し合いを重ねることのできた、大切な場であるヒュジラを復活させることの重要性を共有することができました。

現在、伝統的なヒュジラは、「連邦直轄部族地域」(FATA)(アフガニスタンとの国境地帯)にしか存在しないようになっており、存続の危機にあります。こうした中でも、今回のプロジェクトでは、青年たちが、年長者の方々から、ヒュジラの平和の歴史や文化を教わることができました。

グループハウス(養護施設)の子どもたちのサポート!

ユース・ピースアクションの9回目はグループハウス(養護施設)に暮らす子どもたちへのサポート活動です!

今回のアクションを行った場所はペシャワールにあるグループハウスです。多くの子どもたちが生活しており、イスラム教の勉強、運動や遊びもし、人格形成に関わる場だといえます。

今回のアクションを考案したユースたちは、以下、3つの目的からアクションを行いました。

1. グループハウスの子どもたちを元気づける。
2. 集いの場を提供し、ソーシャルメディアと平和についての情報を伝える。
3. ソーシャルメディアのポジティブな側面の活用によって得られるものについて伝える。

アクションは、ソーシャルメディアについて伝えるプレゼンテーション、ゲーム大会の2部構成で行いました。

まず第1部のプレゼンテーションでは、現代におけるソーシャルメディアの重要性と、その適切な活用方法について子どもたちに説明しました。まず学び、適切な利用をすれば、沢山の知識を吸収して視野を広げたり、様々な活用をしたりすることができるとグループメンバーたちは考えたことから、ソーシャルメディアのポジティブな側面について、重点的に説明しました。子どもたちからも質問がなされ、ユースメンバーが答えることで、理解が深まりました。

第2部は大盛り上がりのゲーム大会でした!今回ユースメンバーたちが子どもたちのために準備したのは「宝探しゲーム」と「椅子取りゲーム」の2つのゲームです。宝探しゲームでは、出されたお題のものをより多く集めた子どもがゲームの勝者になりました!椅子取りゲームではユースグループのメンバーも一緒になってゲームに参加し、歌ったり、手を叩いたりしました!

子どもたちの笑顔が溢れるアクションになりました!

 

宗教・宗派間の共生と調和!ユースの役割!

ユースピース・アクション8回目は宗教・宗派間の調和を目指すセッションです!

コミュニティ内の異なる宗教・宗派同士が対立せず、平和のために調和するために、特に若者ができることについて話し合いました。今回の青年グループは、寛容こそ、まさに今求められているものであり、この集まりがムスリムとマイノリティの青年たちに変化を与え、場をともにし、平和と寛容を促進するための道を見いだすことができるようになると述べました。

まずグループメンバーは地域のコミュニティからの参加者の人々に感謝をのべ、セッションに入りました。

メンバーの一人からは憲法におけるマイノリティの権利と、多数者側や国家の役割について話がありました。ニュージーランドでのムスリムへの攻撃・殺害事件、スリランカでのキリスト教徒への攻撃・殺害事件が取り上げられ、これらによって異なる宗教間での誤解がつくりだされようとした、という指摘もなされました。そしてそうはならないために、警戒心を持ち、寛容な心を持って行動することの必要性が提案されました。

そしてさらに、様々な宗教・宗派が調和することは、パキスタンに“長期的な平和と安定”をもたらすために必要不可欠であり、安定、平和、発展の基礎である、お互いを兄弟姉妹のように思いやるような文化を確かなものにすると述べられました。

セッションの最後には、青年グループのメンバー自身が、ペシャワールの様々な地域にあるコミュニティでも、宗教・宗派間のネットワークを発展させていく、と強調しました。地域全体で宗教・宗派間対話を行うという大きな目標を掲げました!

薬物乱用にNO!キャンペーン!

ユース・ピース・アクションの第7回は薬物乱用にNO!キャンペーンです!

違法薬物の使用は全世界的な問題で、パキスタンでも若者を中心に使用が広がり、問題となっています。調査によれば、パキスタンの薬物依存者は760万人にのぼり、その多くが男性とされています。こうした現状から、今回のプロジェクトは、①若者が薬物依存から身を守る方法を学ぶ、②薬物依存の危険さを知る、の2つの目的をもって行われました。

今回のプロジェクトで、グループメンバーたちは参加者の地域コミュニティの方々に向けたプレゼンテーションを用意しました。まず話は、なぜこうした薬物使用はいけないのかという点から始められました。

こうした薬物使用は健康面や経済面に悪影響を及ぼします。薬物に依存している人は、お金を燃やし尽くすと同時に、自分の身体も燃やしているのです。こうした危険性に加え、イスラム教の教えでも薬物に依存することは許されていません。

次に薬物依存の理由についてです。若者は国の将来を担う存在です。若者が強く健康的で教育を受けているならば、その国の未来は明るく平和的なものとなるでしょう。しかし、さまざまな理由から薬物に依存する人たちがいます。グループメンバーは、薬物依存の理由を「失望」「貧困」「無知」「悪い交友関係」の4つに分けて説明しました。

何かに失望した時、人は自分を慰める手段として薬物に手を出そうとします。また、貧しくて基本的な欲求さえ満たされない人は、満足を求めて薬物に走りがちです。薬物は一時的な満足を与えますが、同時に健康を害し、倫理観や社会生活も破壊します。さらに、こうした薬物の害について無知な人は、知らないうちに薬物に依存し、気付いた時にはそこから逃れることができなくなります。交友関係も大きな影響をおよぼします。悪い友だちに誘われて薬物依存に陥らないようにしなければなりません。

参加者は、こうした薬物の弊害についてよく理解したようでした。そして改めて、周囲の人たちに「薬物乱用にNO!」と伝えていくことを確認しました。

ピース☆ブッククラブ(読書会)!(2020/2/26)

6つ目のユース・ピースアクションのテーマは“読書”です。近年インターネットの発達が影響し、青年をふくめて多くの人々が何かを学ぶために本を読まなくなってしまいました。

今回のアクションを決めたグループのメンバーたちは、この状況下で、本を読むことは多様な価値観が得られ、人生に役立つものだと考え、もう一度本を読むことの価値を見直し、読書意識を向上させることを目標としました。

例えば本を読むことで、「なぜそうなったのか」「なぜこうなのか」といった疑問を感じることになり、それに対する答えを考えたり、疑問を解決するための手段を思考したりすることができるという点に着目し、今回は世界的に有名な作品である、E.ヘミングウェイ著「老人と海」をアクションでの題材に選びました。

まずプロジェクトでは、物語の要約が共有されました。その後に、印象に残った点や、重要だと思った観点をそれぞれが共有し合いました。
話し合われた観点は「困難に取り組むこと」「諦めないこと」「仕事を愛すること」などです。

議論の最後には、3つの論点がまとまりました。まず1つ目が物語の主人公のように、自分自身の仕事に誇りを持つこと、2つ目が最後まで努力し続けることの大切さについてです。そして3つ目は、今回のアクションの目的である、習慣として本を読むことの大切さについてのものであり、青年たちが自分たち自身で、アクションに取り組むことの大事さを再認識することができました。

ピース☆ストリート・ペインティング!(2020/2/22)

ユース・ピースアクションの5つ目はストリートアート&ペインティングです!☆

ストリートアートは、その自由さや創造の高さから、様々な問題を投げかけたり議題を提案したりと、ときには言葉以上に色々なものを表現することができます。
今回のグループはそんなストリートアートを用いて地域コミュニティの協力のもと、“ピース・ストリートアート&ペインティング”プロジェクトを企画しました!

この企画を通して、彼らが目的としたものは①平和のメッセージをコミュニティで共有すること、②居住地内の道路などの清潔な環境を守ること、③若者が活動に取り組むことのよい効果を広めることの3つでした。

プロジェクトにはグループメンバーの青年の男性や女性たちに加えて、ペインティングを行った地域コミュニティの方々が子どもから大人まで参加してくれました!

まず、ペインティングの前に準備段階として行ったのは道路清掃です。
その後落書きなどで汚れた壁を白く塗り直す作業をしました。

完了後に、平和の思いを込めたスローガンを、英語とパシュトゥ語の両方で、参加者それぞれが自由に壁の上に表現しました。

この活動では青年グループとしての活動だけでなく、活動に興味を持ち、賛同してくれた多くの周囲のコミュニティの方々に、小さな子どもから大人まで関わってもらうことができました。青年たちが道路清掃や壁の塗り直しを行ったことに、近隣に暮らす多くの人が感謝をしてくれました。

続いて目的の2つ目に関しては、それぞれが家やその周りを綺麗にしておくことの大切さを伝えるメッセージを伝え、平和のスローガンを壁に記しました。これにより、清潔さを保つことを大事なこととする、イスラム教の教えにも基づいた意識を周知しました。

さらに、近隣の方々と協力して活動を行うなかで、若者が率先して、平和に向けたこうした取り組みを行うことの大切さを強調しました。またグループの青年たちは、もし社会をよりよいものにしたければ、こうした活動を行うことでそれが実現できる、というメッセージも近隣のコミュニティの人々に向けて発信しました。

健康と衛生について考える!~地域コミュニティでセッション開催(2020/2/22)

アクション4: 健康と衛生について考える !(2/22)

ユース・ピースアクションの4つ目のテーマは“健康と衛生”です!
今回のアクションを企画した青年たちは、健康と衛生に関する意識を高めることを重要視し、地域コミュニティで暮らす人々が健康で衛生的な生活をおくるためのセッションを企画しました!

このセッションに参加してくれたのは、地域コミュニティで暮らす30人の男性です。若者だけでなく、年長者の方々にもともに足を運んでもらい、幅広い世代の方々を対象に、グループリーダーが中心となって講師を務める形で講義を行いました。

その中ではまず、清潔であることの大事さはイスラム教における生活様式などの教えのひとつであるハディース(Hadith:イスラム教の教え)に基づくものであることが共有されました。その上で個人レベル、コミュニティレベル、病気対策の3種類の衛生・健康対策について講義や意見を交換し合いました。
こうした意見交換を通じ、コミュニティの年長者たちにもこのセッションの内容を大事にし、またこれから家族や周囲の人々にも共有していくと述べてもらうことができました。

年長者のみなさま!ありがとうございました

失われた伝統文化を青年たちが取り戻す!~”パシュトゥ詩”文化の復興イベント開催(2020/2/20)

アクション3: 失われた”パシュトゥ詩”文化の復興!

ユース・ピースアクションの3つ目は失われたパシュトゥ詩の復興です!

パシュトゥ詩とは、ペシャワールを中心としたパキスタン西北部からアフガニスタンに暮らすパシュトゥの人々のもつ、彼らの他人に対する愛と思いやりを示す“パシュトゥンワリ”と呼ばれる精神のひとつであり、伝統として大切にされてきた文化です。

しかし近年の紛争により、パシュトゥ詩をはじめとする文化活動は抑圧され、失われてしまいました。こうした状況において、今回、青年たちはパシュトゥ詩の伝統を復興させることで、平和に対する思いや近年の情勢への様々な目線を詩に込め、パキスタンに対するテロや紛争のイメージを、本来の文化を大切にし平和を愛する民族の姿に塗り替えることができると考え、企画しました。

パシュトゥ詩を復興させ、平和や愛のメッセージを発信し、アートとして社会問題にも言及しながら、少しでも法的で平等な社会を目指す活動に、多くのペシャワール大学の学生たちが賛同し、参加者として集まってくれました!

プログラムではそれぞれが作成したパシュトゥ詩を全員の前で述べる発表会が行われ、平和や愛、調和のメッセージを共有しました。

また、同時にクイズ大会も開催し、パシュトゥ語の言葉にまつわるクイズに正解した参加者の学生には賞が贈られました!

最後にはそれぞれが参加賞を受け取り、何人かの学生たちがパシュトゥ文化の伝統的な踊りである“アタン”を披露し大盛り上がりとなりました。

アタンのダンスの様子です!何人かで輪になって…
音楽に合わせてクルッと回転したり、ジャンプしたり!楽しそう~!

パキスタンーアフガニスタンの友好のために!~ユース同士の交流会開催(2020/2/19)

アクション2:パキスタン・アフガニスタン青年間対話!

ユース・ピースアクションの2つ目はパキスタンとアフガニスタンの青年同士の対話です!

近年のパキスタンとアフガニスタンの関係に関し、今回プロジェクトを発案してくれたユースたちは”青年同士の信頼関係を構築するための対話”とプロジェクトを題しました。
目的は以下の通りです。

①両国が信頼を失っている原因を探る
②ユースが両国の関係をどう改善できるのかを話し合う
③お互いが抱える問題を認めあい、前向きかつ強い関係を構築する


(円になってお互いの顔が見える状態で話し合います。)

参加者それぞれが自己紹介をした後、パキスタンとアフガニスタン間の平和、調和についてどう感じ、どのような考えをお互い持っているのか、信頼し合うために何が必要といえるのかについて話しあわれました。
要点となったものは以下のものです。

①平和と寛容さ
平和はどの国の発展にも欠かせないものであり、人々がお互いに受け入れあって寛容になることが必要である。それにも関わらず、近年特に、両地域の青年たちの間で寛容さが不足している。最も人口の多い層であることから、青年たち同士が理解しあい、受け入れあう姿勢を持つことが平和に向けた環境をよくすることに繋がる。

②政治の役割
政治は人々の間に対立を生み出してしまう可能性も持つものであり、だからこそ人々は知識を持ち、自分たちの頭で何が正しいものであるかを判断する必要があるといえる。青年である自分たちはなおさら、(一部の)政治家などの都合のよいように巻き込まれてはいけない。

③宗派間対立に関して
人々が陰謀に気付かず、扇動されてしまうことにより、知らない内に争いや対立に誘導されてしまう問題がある。そうならないために、自分たちで自身の利益や損失に気付くことが大切である。

④ソーシャルメディア(SNS)の重要性
ソーシャルメディアは最も大事な要素のひとつといえる。今現在、若者たちがSNSを見るときは、適切でない形で取り上げられる政治問題、犯罪、あまり道徳的とはいえないものなども多く含まれてしまっている。しかし、そうした使い方ではなく、平和のためにSNSを使用することが可能である。平和や信頼、教育、他国との関係改善のために、SNSはポジティブな役割を果たすことができる。

また以上に加えて、2国間の信頼の欠落、支配の問題なども話し合われました。


(真剣なようすで意見に耳を傾けています。)

そして対話の最後に、青年たちはパキスタンーアフガニスタン間の信頼関係を醸成するために彼ら個人がまず信頼し合うことが必要であると結論づけました。彼らがお互い前向きに変わることで、周囲にも変化を与えることができると同意しました。

 

ピースアクションプロジェクト始動!~パキスタン・ユースの平和ディベート大会(2020/2/18)

計4回(第5回目は近日開催予定)に渡るワークショップを終えて、パキスタンのユース・ピースアクション・プロジェクトがついに始動しました!
ユースたち自身がこれまでのワークショップで地域が抱える様々な問題をもとに考案した、アクションを実施し、平和の実現に貢献します。

アクション1:ピースディベート大会!

第1回目はピースディベート大会です!ペシャワール大学経済学部の場をお借りし、3つのトピックをもとに、グループに分かれた青年たちが、さらに賛成と反対の立場に分かれ真剣な意見をぶつけあいました!

グループA テーマ:FATA(連邦部族直轄地域)の隣州への合併に伴う問題

FATA(連邦直轄部族地域)・・・なんともいかつい名前です。アフガニスタンと隣接するパキスタン国内の地域名です。多くの武装勢力の拠点となってきた地域でもあります。アフガニスタンとの国境地帯という要衝。地域の行政責任者が広範な権限を有し、通常の国内法や司法権が適用されず、部族全体の集団責任も問えるとされていました。長年の人びとの要求を受け、ついに昨年2018年、FATAは隣接州(州都ペシャワール)に編入され、この地域の人びとも他の地域と同様の権利を享受できることになりました。画期的な出来事です。絶え間なく続いてきた戦闘による多大な犠牲と被害、他地域と違う扱いなどからくる強い怒り、不満などから暴力的な過激主義の影響を受けるのを防ぐ必要があります。

(こちらも参照:「FATAを知っていますか?日本人のほとんどが知らない、世界で最も紛争に苦しむ地域の一つ」 https://www.facebook.com/peacevillageunited/photos/a.2242578739159383/2416489578434964/?type=3&theater

今回のディベートでは、合併の賛成派の要点は、FATAで暮らす人々が自立し選挙も行うことができるようになったことなど、人々がそれぞれ権利を持ちビジネスも始められるようになった、また健康や教育の観点からもよい影響がある、といったものでした。それを受けて反対派は、集団責任を可能にしているFCR(Frontier Crimes regulation:辺境犯罪規則)は廃止されるべきであり、人々の権利は認められるべきであるが、FATAの合併は正しい判断とはいえず、正常な政治システムがまだ実現していない点を指摘しました。

グループB テーマ:政治における女性の役割とは

賛成派の意見では、①議会に代表としての女性が加わることの重要性、②女性を正当に評価すべきである、といった主張がなされました。中でも①に関し、女性が議会に入ることで声をあげやすくなり、女性にとってよくないものを廃止し、女性たちが自分たちの権利を主張したり、自信を持ったりすることができるようになる、と主張しました。一方の反対派は、イスラム教の観点から、女性の役割として家庭における両親や子どもたち、夫の面倒を見る立場が重要であり、政治参加は認められていない、という意見を述べました。

グループC テーマ:イギリスのEU離脱問題

賛成派の意見では、イギリスがEUを離脱することによって得られるメリットを国家主権、国際問題への関わり、漁業などの産業の観点から、話がなされました。それに対し反対派は、彼らが持っていた自由貿易へのアクセスが失われてしまうことによる交渉力の低下など、ビジネスの観点からデメリットを挙げるなど、白熱した討論が交わされました。

以上のディベートを通して、討論の勝者にはペシャワール大学経済学部長からの盾と賞状が贈られました。ユースたちも最後にはお互いの立場を認め合い、大会は締めくくりとなりました!

ペシャワール大学経済学部長からの表彰です!おめでとうございます!

最後はピースカードとともに!

■延期■3/27(金)「ピースとユース!」ペシャワール地域平和アクション&現地訪問報告会

※延期※「ピースとユース!」ペシャワール地域平和アクション&現地訪問報告会

3/27(金)「ピースとユース!」のイベントは、新型コロナウィルスの影響に鑑み、延期といたしました。無期限延期とさせていただき、実施時期が確定できた段階で、あらためまして、ご案内をさせていただけますと幸いです。その間も、よりよい活動と発信に努めてまいります。どうぞご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

ユースが地域の平和を議論!~ワークショップを開催しました(2020/1/15-)

ついに実際の青少年ワークショップが実施されました!各回30名のWSを計5回行い、総計150名の若者たちと、紛争の解決と平和について意見を交換します。(現時点(2/7更新時)において4回を実施、計120名が参加(内訳男性94名・女性26名)。)

(日本の平和村からはskypeでビデオ参加!)

その中で紛争分析のもと、青年たち自身の地域や周囲の紛争についてグループワークで話し合い、その上で再度グループに分かれ、どのような解決を行ったらよいのか、アクションプロジェクトの形成を行って貰いました。その結果が以下の通りです。

【結果】
① 地域における紛争の分析に基づく議論のテーマ

パンジャブ州とKP州の人々の争い
シーアとスンニの争い
連邦直轄部族地域(FATA)のKP州への併合
カシミール問題
アフガニスタンとパキスタンの争い
私人間での衛生やゴミ投棄の問題
土地・食材などをめぐる争い
大学生の間での争い
農業大学で起こった問題
女性の教育とハイバル管区
マルダンの大学で大学生(Mishal Khan)が暴徒に殺害された問題

真剣な様子です… !
皆で輪になって話し合いです

② ピースアクションプロジェクトの提案例
WS全体を通じて、以下のようなプロジェクトが各グループから提案されました。

  • 「ヒュジラ(Hujra)*」の復活(*パシュトゥ(パキスタン-アフガニスタン国境地帯)エリアに特有の伝統的な地域コミュニティ。村やストリート単位で存在し、子どもや年長者、若者が集い様々な問題や話を共有する場であったが、近年は減少傾向にある。)
  • 青年ピースリーダーが異なる宗派の関係をまとめ、共生を促進
  • 伝統的なパシュトゥ詩文化の復活(青年たちの学びの場づくり、詩人Rehman BABAの歴史的な墓所への訪問)
  • 社会秩序の維持
  • 様々な集団の共生
  • 詩の朗読コンテスト
  • パキスタン-アフガニスタン青年間の相互信頼のための対話
  • 地域社会ととともに行う健康と衛生の意識啓発セッション
  • 青年間の薬物使用の影響に関する意識啓発セッション
    プレゼンです!

    ほか、WSでは、イスラムと平和についてのセッションを設けました。講師をしていただいたのは、ペシャワール大学イスラミックセンター宗教指導者の方です。クルアーンや歴史の説明も通じた、イスラムと平和についての講義が行われました。

    (参加者の青少年に向けた、パッション溢れる講義でした!

(現地訪問の際に、ご挨拶させていただきました!)

次回からはいよいよ青年たち考案のピースアクションプロジェクトが始動します!

参加してくれたユースの皆さん、ありがとうございました!

ユースと地域の平和を考える、ワークショップ開催まであと少し!~マニュアルが完成です

(青年が着たTシャツの背中には”Peace builder”と記されています)

今までの協議で得た結果を踏まえ、青少年の抱える問題や能力、地域にある紛争や解決に必要なものに関する情報をもとに、ワークショップの組み立てを行いました。その内容と構成に伴い、実際のワークショップで使用するマニュアルを作成しました。
マニュアルならびにそれを使用するWSの大まかな構成の組み立ては以下の通りです。

  1.  アイスブレーキング
    参加者それぞれの目標の共有や、他己紹介を行うことによる交流を行う。
  2.  アイデンティティと信頼構築
    「自分と人が知る自分」や「自分が知る人が知らない自分」、またそれらの反対の整理を行い、個々に特有の環境で形成されるアイデンティティの理解を深める。
  3.  紛争の理解を分析
    「コンフリクト・ツリー」のワークを通じて紛争のきっかけ、要因、主体、影響等を理解する。またグループに分かれ、この分析手法に基づいて参加者自身の地域にある紛争を書き出すワークを行う。
  4.  コミュニケーションについて学ぶ
    様々なコミュニケーションの方法について理解する。議論・対話・討論など。
  5.  交渉の方法を学ぶ
    紛争や争いごとを解決するための様々な交渉の手段について学ぶ。
  6.  社会アクションプロジェクトの説明と形成作業
    こうした活動自体に慣れていない青年たちに説明を行い、グループに分かれてもらった上で「自身の暮らす地域をよくする、そしてそこにある紛争を解決するアクションプロジェクト」をグループごとに提案する。この流れで、青少年たちとともに考えるピースアクションプロジェクトが始動していきます!

 

地域のピースアクションを担うのは誰だ!?~青少年ワークショップの参加者が決まりました(2019/12/8-2020/1/8)

地域平和活動のためのワークショップに参加する青少年合計150名の選定と参加促進のための説明会を行いました。
選定において考慮したのは、地理的分布やジェンダー、宗教・宗派、民族などの多様性です。青年グループのリーダーや地域社会の人々との話し合いを経た上で、スンニ派、シーア派、ヒンドゥーやシークの人々、女性たち、アフガニスタンや連邦直轄部族地域(FATA)(アフガニスタンとの国境地帯)の出身者、チャレンジドの方々、トランスジェンダーの青年たちを含む、様々なバックグラウンドを持つ若者たちの参加が決定しました。

 

 

 

 

 

現地訪問による関係者との協議を行いました!(2019/12/18)

12月18日に現地活動地であるパキスタン・KP州、ペシャワールを訪問し、現地ペシャワール大学の学生をはじめとする青年リーダーたちや、プロジェクト関係者との意見交換を行いました。
主に以下の論点が提起されました。

  • 仕事がなく何もすることがない場合、教育を受けていない場合、また縁故主義やえこひいきなどが多いことから、一生懸命働いても人間関係とお金がないと上手くいかないなどの否定的な社会状況にさらされる場合などに、過激主義に引き込まれてしまう。
  • 偏った宗教解釈がなされ、10代の若者が悪い方向に引き込まれてしまうなどの状況がある。
  • 経済状況の悪さから、生き抜くために大学で得た技術を使って、武装勢力で働く若者もいる。
  • 社会全体で約6割が青年層であり、世代間ギャップが大きい。若者による政策形成参加が不足しており、また、社会の中で代表されていない。
  • 各政党の大学生への介入がある。
  • 学生間の暴力、薬物の使用が蔓延している。
  • 青年たちはお金が必要、雇用の機会がないという者もおり、中には銃しか知らない、といった青年もいる。

また道中のKP州内の農村地帯での青年たちとの協議では、雇用の不足や、知識・技能を持っていても活かす場が欠如していることについて多く意見が寄せられました。