ピースアクションプロジェクト始動!~パキスタン・ユースの平和ディベート大会(2020/2/18)

計4回(第5回目は近日開催予定)に渡るワークショップを終えて、パキスタンのユース・ピースアクション・プロジェクトがついに始動しました!
ユースたち自身がこれまでのワークショップで地域が抱える様々な問題をもとに考案した、アクションを実施し、平和の実現に貢献します。

アクション1:ピースディベート大会!

第1回目はピースディベート大会です!ペシャワール大学経済学部の場をお借りし、3つのトピックをもとに、グループに分かれた青年たちが、さらに賛成と反対の立場に分かれ真剣な意見をぶつけあいました!

グループA テーマ:FATA(連邦部族直轄地域)の隣州への合併に伴う問題

FATA(連邦直轄部族地域)・・・なんともいかつい名前です。アフガニスタンと隣接するパキスタン国内の地域名です。多くの武装勢力の拠点となってきた地域でもあります。アフガニスタンとの国境地帯という要衝。地域の行政責任者が広範な権限を有し、通常の国内法や司法権が適用されず、部族全体の集団責任も問えるとされていました。長年の人びとの要求を受け、ついに昨年2018年、FATAは隣接州(州都ペシャワール)に編入され、この地域の人びとも他の地域と同様の権利を享受できることになりました。画期的な出来事です。絶え間なく続いてきた戦闘による多大な犠牲と被害、他地域と違う扱いなどからくる強い怒り、不満などから暴力的な過激主義の影響を受けるのを防ぐ必要があります。

(こちらも参照:「FATAを知っていますか?日本人のほとんどが知らない、世界で最も紛争に苦しむ地域の一つ」 https://www.facebook.com/peacevillageunited/photos/a.2242578739159383/2416489578434964/?type=3&theater

今回のディベートでは、合併の賛成派の要点は、FATAで暮らす人々が自立し選挙も行うことができるようになったことなど、人々がそれぞれ権利を持ちビジネスも始められるようになった、また健康や教育の観点からもよい影響がある、といったものでした。それを受けて反対派は、集団責任を可能にしているFCR(Frontier Crimes regulation:辺境犯罪規則)は廃止されるべきであり、人々の権利は認められるべきであるが、FATAの合併は正しい判断とはいえず、正常な政治システムがまだ実現していない点を指摘しました。

グループB テーマ:政治における女性の役割とは

賛成派の意見では、①議会に代表としての女性が加わることの重要性、②女性を正当に評価すべきである、といった主張がなされました。中でも①に関し、女性が議会に入ることで声をあげやすくなり、女性にとってよくないものを廃止し、女性たちが自分たちの権利を主張したり、自信を持ったりすることができるようになる、と主張しました。一方の反対派は、イスラム教の観点から、女性の役割として家庭における両親や子どもたち、夫の面倒を見る立場が重要であり、政治参加は認められていない、という意見を述べました。

グループC テーマ:イギリスのEU離脱問題

賛成派の意見では、イギリスがEUを離脱することによって得られるメリットを国家主権、国際問題への関わり、漁業などの産業の観点から、話がなされました。それに対し反対派は、彼らが持っていた自由貿易へのアクセスが失われてしまうことによる交渉力の低下など、ビジネスの観点からデメリットを挙げるなど、白熱した討論が交わされました。

以上のディベートを通して、討論の勝者にはペシャワール大学経済学部長からの盾と賞状が贈られました。ユースたちも最後にはお互いの立場を認め合い、大会は締めくくりとなりました!

ペシャワール大学経済学部長からの表彰です!おめでとうございます!

最後はピースカードとともに!

ユースが地域の平和を議論!~ワークショップを開催しました(2020/1/15-)

ついに実際の青少年ワークショップが実施されました!各回30名のWSを計5回行い、総計150名の若者たちと、紛争の解決と平和について意見を交換します。(現時点(2/7更新時)において4回を実施、計120名が参加(内訳男性94名・女性26名)。)

(日本の平和村からはskypeでビデオ参加!)

その中で紛争分析のもと、青年たち自身の地域や周囲の紛争についてグループワークで話し合い、その上で再度グループに分かれ、どのような解決を行ったらよいのか、アクションプロジェクトの形成を行って貰いました。その結果が以下の通りです。

【結果】
① 地域における紛争の分析に基づく議論のテーマ

パンジャブ州とKP州の人々の争い
シーアとスンニの争い
連邦直轄部族地域(FATA)のKP州への併合
カシミール問題
アフガニスタンとパキスタンの争い
私人間での衛生やゴミ投棄の問題
土地・食材などをめぐる争い
大学生の間での争い
農業大学で起こった問題
女性の教育とハイバル管区
マルダンの大学で大学生(Mishal Khan)が暴徒に殺害された問題

真剣な様子です… !
皆で輪になって話し合いです

② ピースアクションプロジェクトの提案例
WS全体を通じて、以下のようなプロジェクトが各グループから提案されました。

  • 「ヒュジラ(Hujra)*」の復活(*パシュトゥ(パキスタン-アフガニスタン国境地帯)エリアに特有の伝統的な地域コミュニティ。村やストリート単位で存在し、子どもや年長者、若者が集い様々な問題や話を共有する場であったが、近年は減少傾向にある。)
  • 青年ピースリーダーが異なる宗派の関係をまとめ、共生を促進
  • 伝統的なパシュトゥ詩文化の復活(青年たちの学びの場づくり、詩人Rehman BABAの歴史的な墓所への訪問)
  • 社会秩序の維持
  • 様々な集団の共生
  • 詩の朗読コンテスト
  • パキスタン-アフガニスタン青年間の相互信頼のための対話
  • 地域社会ととともに行う健康と衛生の意識啓発セッション
  • 青年間の薬物使用の影響に関する意識啓発セッション
    プレゼンです!

    ほか、WSでは、イスラムと平和についてのセッションを設けました。講師をしていただいたのは、ペシャワール大学イスラミックセンター宗教指導者の方です。クルアーンや歴史の説明も通じた、イスラムと平和についての講義が行われました。

    (参加者の青少年に向けた、パッション溢れる講義でした!

(現地訪問の際に、ご挨拶させていただきました!)

次回からはいよいよ青年たち考案のピースアクションプロジェクトが始動します!

参加してくれたユースの皆さん、ありがとうございました!

ユースと地域の平和を考える、ワークショップ開催まであと少し!~マニュアルが完成です

(青年が着たTシャツの背中には”Peace builder”と記されています)

今までの協議で得た結果を踏まえ、青少年の抱える問題や能力、地域にある紛争や解決に必要なものに関する情報をもとに、ワークショップの組み立てを行いました。その内容と構成に伴い、実際のワークショップで使用するマニュアルを作成しました。
マニュアルならびにそれを使用するWSの大まかな構成の組み立ては以下の通りです。

  1.  アイスブレーキング
    参加者それぞれの目標の共有や、他己紹介を行うことによる交流を行う。
  2.  アイデンティティと信頼構築
    「自分と人が知る自分」や「自分が知る人が知らない自分」、またそれらの反対の整理を行い、個々に特有の環境で形成されるアイデンティティの理解を深める。
  3.  紛争の理解を分析
    「コンフリクト・ツリー」のワークを通じて紛争のきっかけ、要因、主体、影響等を理解する。またグループに分かれ、この分析手法に基づいて参加者自身の地域にある紛争を書き出すワークを行う。
  4.  コミュニケーションについて学ぶ
    様々なコミュニケーションの方法について理解する。議論・対話・討論など。
  5.  交渉の方法を学ぶ
    紛争や争いごとを解決するための様々な交渉の手段について学ぶ。
  6.  社会アクションプロジェクトの説明と形成作業
    こうした活動自体に慣れていない青年たちに説明を行い、グループに分かれてもらった上で「自身の暮らす地域をよくする、そしてそこにある紛争を解決するアクションプロジェクト」をグループごとに提案する。この流れで、青少年たちとともに考えるピースアクションプロジェクトが始動していきます!

 

地域のピースアクションを担うのは誰だ!?~青少年ワークショップの参加者が決まりました(2019/12/8-2020/1/8)

地域平和活動のためのワークショップに参加する青少年合計150名の選定と参加促進のための説明会を行いました。
選定において考慮したのは、地理的分布やジェンダー、宗教・宗派、民族などの多様性です。青年グループのリーダーや地域社会の人々との話し合いを経た上で、スンニ派、シーア派、ヒンドゥーやシークの人々、女性たち、アフガニスタンや連邦直轄部族地域(FATA)(アフガニスタンとの国境地帯)の出身者、チャレンジドの方々、トランスジェンダーの青年たちを含む、様々なバックグラウンドを持つ若者たちの参加が決定しました。

 

 

 

 

 

現地訪問による関係者との協議を行いました!(2019/12/18)

12月18日に現地活動地であるパキスタン・KP州、ペシャワールを訪問し、現地ペシャワール大学の学生をはじめとする青年リーダーたちや、プロジェクト関係者との意見交換を行いました。
主に以下の論点が提起されました。

  • 仕事がなく何もすることがない場合、教育を受けていない場合、また縁故主義やえこひいきなどが多いことから、一生懸命働いても人間関係とお金がないと上手くいかないなどの否定的な社会状況にさらされる場合などに、過激主義に引き込まれてしまう。
  • 偏った宗教解釈がなされ、10代の若者が悪い方向に引き込まれてしまうなどの状況がある。
  • 経済状況の悪さから、生き抜くために大学で得た技術を使って、武装勢力で働く若者もいる。
  • 社会全体で約6割が青年層であり、世代間ギャップが大きい。若者による政策形成参加が不足しており、また、社会の中で代表されていない。
  • 各政党の大学生への介入がある。
  • 学生間の暴力、薬物の使用が蔓延している。
  • 青年たちはお金が必要、雇用の機会がないという者もおり、中には銃しか知らない、といった青年もいる。

また道中のKP州内の農村地帯での青年たちとの協議では、雇用の不足や、知識・技能を持っていても活かす場が欠如していることについて多く意見が寄せられました。

 

 

 

 

 

地域社会関係者との協議を行いました!(11/15-12/5)

青少年プロジェクトについての説明と活動参加促進、青少年の意見を取り入れ、モチベーションを高めてもらうことを目的に、地域社会の指導者や、政府関係者、地方行政関係者と計10回にわたり協議を行いました(58名)。
現地の状況について意見交換を通じて、地域社会での青少年による平和活動の経験共有やインプットをもらうなどしました。
中でも活動地であるKP州での暴力的な過激主義に至る要因として以下が挙げられました。

・青少年と地域社会とのつながりが不足している
・青少年が何らかのスキルを得るための機会が不足している
・社会的な寛容さが不足している
・青少年が抱いている不安や懸念に向き合うメディアが少ない
・教育システムが不十分、教育へのアクセスや質が均一でない
・大学生に薬物の使用が広まっており、争いのきっかけとなっている
・政党の青年部が政治的な見解の相違から対立している状況がある

青少年グループリーダーとの協議を行いました!(2019/11/25)

現地パートナー団体SPADOの呼びかけで、地域の青年グループリーダーたちが集まり、今後の活動について話し合いをしました。今回集まってくれたのは、様々なバックグラウンド・宗教・宗派の青年たちです。この協議の中で、青年たち自身から平和をつくるための課題が提案されました。その内容は以下の通りです。

●紛争で社会や文化も破壊されており、多数の青少年が戦闘員になるしかないような状況にある。
●社会や青少年の過激化で、大学も含め多様な人々が集う場が縮小。対話や交流が必要とされている。
●通う学校の種類により、青少年の考え方に違いが生まれてしまう。それらを最小限にする必要がある。
●メディアに民族的偏見を煽られる。
●誤った道に誘導される、フラストレーションを抱えるなどがないよう、カウンセリングや将来の機会供与を行うべき。

今後は地域の平和づくりなどを学び合った後、グループに分かれてこれらの課題を基に、青年たち発案の様々なピースアクションが行われます!

 

 

関係者ミーティングを行いました!(2019/10/10-2019/11/10)

2019年10月より11月にかけて、パートナー団体SPADOが現地にてプロジェクト関係者の方々向けに導入的説明を含めたミーティングを全6回実施しました。
現地コミュニティワーカーや宗教学者、人権活動家の方々や障がいを持つ方々など、地域の様々なコミュニティグループの人々にご参加いただきました!

 

パキスタンでの現地活動がついに始動です!(2019/10/1)

2019年10月より、遂にパキスタンにおける現地活動がスタートしました!それに伴い現地パートナー団体、SPADO側でのスタッフミーティングを行いました。新プロジェクト開始の挨拶からはじまり、プロジェクトの目標設定や認識の共有のためのオリエンテーション、質疑応答などが主な内容となりました。さらに今後の方針についての議論では、実際の活動地域の若者やコミュニティとの関係づくりのための現地スタッフの訪問、地域の若者ネットワークのプロジェクト参加やガイドラインに沿った活動、現地活動に伴うリスクや問題の回避についても盛んに意見を交わし合うことができました。